第1話 復活!ハクタカ伝説
1
704年 越中国 立山
太古の昔、越中国の立山の暗闇の中で、白と赤の超人・鳥神ハクタカ・リアルオーバフォルムと、クラゲのような異形の怪人・デーモン・バグゼルンが互いに構え、対峙していた。
ハクタカ「うおおぉ――っ!!」
バグゼルン「ぐおおおおぉ――!!」
一陣の風が吹き、草木が揺れるのをきっかけとして、掛け声とともに駆け出し、ハクタカとバグゼルンの拳が何度も衝突する。
ハクタカ「おおおぉぉーっ!やああぁーっ!!」
バグゼルン「むんっ!」
ハクタカとバグゼルンの死闘は、やがてハクタカの高いジャンプと共に、光と炎のエネルギーを纏った飛び蹴りを放つ必殺技・リアルオーヴァーキックで決着する。
バグゼルン「ぐぁぁぁあああーっ!!」バグゼルンは苦しんだのちに爆発を起こす。
爆発の向こうで、ハクタカが地面をなぞり、不動明王の印を結ぶ。
すると、爆発が静まり、炎は消えた。
立ち上がるハクタカを、夜の静寂が包んでいく。
2
富山県 某所
時は流れ、2020年
事件は、富山県・富山市内のとある場所で起こった。
ある日、富山県の、夜明けのある家に、声が強く響く。
?1「おい。おい!居るか?どうしたんだよ!?」
?2「なあ、扉変じゃねえか?鍵、開いてんぞ?」家の扉の鍵は開いており、二人の男は、そのまま家の中に上がり込んだ。
「どこにいるんだよ・・・?」二人は、ある人物を探しに、中を見渡す。
一同「っ!?」そこで一同はとんでもないものを目にしてしまう。
何と一室内で、一人の青年が頭や口など全身から血を流しながら、首を吊っていた。
?1「・・・・?」
「おい・・・。おい!大丈夫か!?しっかりしろ!おい!」
青年「・・・・。」
?1「大丈夫かよっ!しっかりしろよ!」
?2「何なんだよ・・・コレ・・・?」
?1「警察呼んでくれ!サツの中に、何人か俺のダチがいんだよ!」
?2「お、おお分かった・・・。」
熊吉「なあ、おい!起きてくれよ!なあ、おい!」
「光 >ぃっ・・・!!」男の一人―岩井熊吉が、青年を抱えて、悲痛に叫んだ。
3
その後、青年は病院に搬送されたが、既に死亡が確認された。
青年の突然の死は、状況からして自殺かと思われた。
だが自殺にしては不可解な点があった。それは青年が、血を流すほど傷だらけの状態であった事であった。
それを不審に思った、警察によって、捜査が開始された。
しかし、大掛かり且つ賢明な捜査が行われたにも関わらず、証拠等が全く見つからず激しく難航した。
全く進展がないまま、やがて捜査は打ち切られる事となってしまった。
女性刑事「そんな・・・!どうしてですか!?」納得のいかない”ある女性刑事”が、上司に抗議する。
上司「悪いが・・・もう決まったんだ・・・。」
女性刑事「けど・・・!」上司は女性刑事の肩を叩き、その場を後にした。
女性刑事は絶望するように深く落胆し、事件は自殺として処理され、一部の者を除いて、世間から徐々に忘れ去られた。
ナレーション「――思えば、これが始まりになったのかもしれない。」
「これから繰り広げられる、長い過酷な戦いの始まりに・・・・。
4
立山博物館・館内
立山博物館の館内にて、一人の青年・風城鷹志が少年とベンチに並んで座っていた。
泣きじゃくる少年の肩をさすりながら、微笑んで諭す風城。
風城「きっと大丈夫!お父さんもお母さんも置いて行ったりしないから!」
少年「そうかな?」
風城「そうだよ!きっと近くで君を待ってる。折角来たんだし、僕が案内してあげる。」
ここで風城の胸のネームプレートに、少年が気付き、こう言った。
少年「お兄さん、ここの人?」
風城「立山博物館職員、風城鷹志。」
「趣味は登山で、好きな者はクリームパンと野菜ジュース!あとはね・・・!」
5
?「風城君。ちょっといい?」そこへ風城の肩を叩く、彼の同僚の職員・鶴屋涼子の手元が現れる。
風城「涼子さん!ちょうど良かった。」
「この子、迷子みたいだから、僕が館内を案内してあげようと思って・・・。」
涼子「うん、その子のご両親なら、あっちで待ってるから大丈夫。」
「それより風城君には管理室で別の仕事があるから・・・。」
風城「それって、この間の経費精算でしょ?ちゃんと帰りにやるから・・・。」
涼子「早く行ってあげて?お父さんとお母さん心配してるから。」
少年「ありがとう!お兄ちゃん、お姉ちゃん!」
立ち上がって両親の元へ走り去る少年に、手を振る風城と涼子。
風城「良かった。」
涼子「そうね。」
合流して、頭を下げてくる少年と、少年の父・母。それに会釈を返す涼子。
その間にそろーりと去ろうとする風城だったが、すぐに涼子に肩を掴まれる。
涼子「いい大人が仕事から逃げない。」
風城「はい・・・。」観念した風城は、首を垂れた。
6
風城の同僚の職員である青年・夏目秀太郎が、並んで歩く風城と涼子をチラリと見やり、展示物の解説を続ける。
秀太郎「この道祖神の像は、最近この立山の登山客が見つけて寄贈してくださったものです。」
風城「っ!?」道祖神の像を振り返る風城の脳内に、突然不思議なイメージが入り込んだ。
それは白い鳥人ハクタカと怪物バグゼルンのバトルの一部のイメージだった。
風城「・・・・・。」
涼子「どうしたの?」立ち止まり呆けている風城に、声を掛けた涼子。
風城「いや、あれ何?」
涼子「君があまりお仕事しないで、登山に夢中になってる間に見つかった貴重な郷土資料よ。」
風城「へえ・・・。」
(不思議だな・・・。)
風城は、涼子に引っ張られるように管理室へ連れていかれた。
道祖神は不思議な光を放っていたが、誰も気付かなかった。
7
ラーメン屋 ラーメンいわい
ラーメン屋・らーめん・いわいの、店内の厨房でラーメンを作る店主・岩井熊吉。
熊吉「・・・あいよ、チャーシュー麵一丁。」
チャーシュー麵を受け取る、富山県警の女性刑事・前羽和実。
前羽と熊吉は小学校時代からの友人で、成人してそれぞれの道を行った今も親交があり、絆で結ばれた仲間であった。
前羽「・・・熊吉さ。」
熊吉「何よ前羽、あらたまってよ。」
前羽「こんな入店で大丈夫?」店内は、前羽の他、誰も客がおらず、大丈夫かと問う前羽。
熊吉「ウチは土日の分の営業でもってんの!」熊吉は土日の営業でもってると言い返す。
前羽「ならいいけど・・・・・・。いただきます。」前羽は割り箸を割ってラーメンを食べ始めた。
8
岩井「・・・ところで、あれ進展どうよ?」ここで熊吉は前羽にある事を聞きだした。
前羽「4年前のアレは、すぐ自殺で処理されてそれっきりよ。忘れたの?」それは4年前の自殺事件の事であった。
岩井「やっぱりマジかよ・・・アイツのあの事件・・・。」
「あれだけ大掛かりな捜査で、証拠とか全くなくて、それでもまだ調べられたのに・・・。」
前羽「あんな状況ではあったけど、不可解だったのは、アイツの遺体の状態。遺体は傷だらけだった・・・。」
「あれは自殺にしては、あまりにも不可解だった。本当に自殺なら、あんな事は普通あり得ない。」
「絶対、他に誰かが居て・・・そいつがやったに決まっている・・・!それなのに・・・。」
岩井「なのに、いきなり打ち切りか・・・。なんで・・・!」
前羽「多分だけど、何かの圧力を感じた。何かまずい事でもあったのか・・・。」
「それにアイツが首を吊ったような状態だったのも事実だから、改めて自殺という事で処理されたの。今じゃ、警察内の連中も世間も皆自殺だと本気で思い込んでる。」
「一部除いて・・ね・・・。」
熊吉「そうかよ・・・・・。俺、まだ信じられねえし、忘れられねえのに・・・。」それを聞いて悔しがる熊吉。
「それで、今どうしてんだよ。」
前羽「今は、別の捜査の仕事が舞い込んできてね・・・。最近登山客が下山直後に行方不明になる事件よ。」今、前羽には立山登山客失踪事件の捜査の仕事が舞い込んでいた。
熊吉「それか・・・・。まあ、そっちはそっちで俺も気にはなってるけどよ・・・。」
前羽「これはこれで、高くつくわよ?」
9
淡々と前羽の丼に、味玉を置く熊吉。
前羽「ごっつぁん。」
前羽は熊吉に、新聞を差し出す。
熊吉「これ、俺の新聞。」
前羽「そうだね。」
熊吉「俺、もう読んでる。」
前羽「でしょうね。」
熊吉「俺が知りたいの、ここに書いてない情報、Ok?」
前羽「そんなのないよ?」
熊吉「そんなのないよ!」
前羽「大体知ってどうするの?」
熊吉「そりゃあ勿論、犯人とっ捕まえて、とっちめてやりてぇ!」
「今までだって、泥棒捕まえんのに協力してきたし、”光”の事だって・・・!」
前羽「それはダメだよ。」ダメだと答える前羽。
熊吉「なんでよ!?」
前羽「熊吉、アンタ奥さんも子供もいるでしょ?」
熊吉「お、おう?」熊吉には妻と、娘がいる。
前羽「万一の事があったら、二人はどうするの?」
「悪いけど、無理はさせられない。どのみち、アイツの事は、私達も止められているのよ・・・。」
熊吉「だけどさ・・・・・。」
前羽のスマホに着信が来た。
前羽「もしもし前羽です。・・・・・・遺体が出た!?」職場からの電話であり、遺体が出たという連絡を受けた。
「分かりました、急行します!」
熊吉「事件?」
前羽「熊吉、ご馳走様。またね。」前羽は箸をおいて、店を後にして現場に急行していった。
10
富山県 山のふもと・樹海
山のふもとの樹海にて、鑑識班が男の死体の周りを調べている。
前羽がブルーシートをかき分け、入ってくる。
前羽「この男、行方不明になっていた立山の登山客ね・・・。遂に死亡者・・・。」
死体の身元は、行方不明になっていた登山客の一人であった。
男の遺体の状況を見て、前羽はある事を思い出していた。
前羽「この状態・・・前にもどこかで・・・。」
4年前・・・通報を受けて現場にたどり着いた前羽。
熊吉『前羽・・・。』熊吉の腕の中で、傷口から血を流して心肺停止状態となっていた男・明神光。
前羽『光・・・うそ、どうして・・・・?』それを見て絶句する前羽。
熊吉『光が・・・!光・・・!うぅ・・・!』
『何してるんですか!貴方は一旦現場から離れててください。』
熊吉『離せ!離せよ!光ぃぃっ!!うああぁぁぁ!!』
やがて熊吉は現場を調べていた警官に、現場から引き離されてしまい、悲痛に叫び続けた。
前羽「まさか・・・!」
傍らに落ちていた男のスマホの画面に、道祖神の像の写真が写っていた。
それに気づき、スマホを手に取った前羽。
前羽「これは・・・?」
その隅で、なにやら不気味な青白い液体が流れ出ていた。
11
立山博物館・管理室
博物館の管理室で、風城と向かいに座っている涼子は、パソコンに領収書の数字を打ち込んでいた。
風城「ふぁぁ・・・やっと終わった。」経費精算の仕事を済まして体を伸ばす風城。
涼子「風城君はサボりすぎよ。普段からちゃんとやってれば・・・・・。」
風城「ごめんごめん・・・。ちょっとテレビつけていい?」風城はリモコンを手に取り、テレビを点けた。
アナウンサー「次のニュースです。」
「立山連峰登山客連続失踪事件の行方不明者の内1名が、心肺停止状態で発見されました。」
「警察では自殺と他殺両方の可能性から、捜査を進めています。」
風城「・・・。」ニュースを聞いて深刻な顔になる風城。
涼子「・・・風城君も気をつけてね。」
風城「え?」
涼子「最近、登山客の失踪が続いているの。」
「中には、酷い怪我をして見つかった人もいたり、最近見つかった道祖神の像を寄贈してくださった人もいるみたいで・・・。」
風城「僕は大丈夫。」
涼子「?どうして?」
風城「だって山の声が聞こえるから。」
涼子「そういう事じゃなくて!」山の声が聞こえるから大丈夫と言う風城に、涼子はそういう事じゃないと返す。
そこで館内に閉館のチャイムが鳴る。
風城「閉館か。」
涼子「お客さんのお見送りしてくるわ。館内のチェックよろしくね。」
涼子は立ち上がって、客の見送りをするため、管理室から出ていく。
風城は館内のチェックをしに、懐中電灯を手に立ち上がる。
12
山のふもと 夜道
山のふもとの夜道にて男が、何かから逃げるように、必死に走っていた。
男「はぁ・・はぁ・・・はぁ・・・!何だよ・・・何なんだよ!?」
「警察だ!警察、警察・・・!」スマホを取り出し、警察に連絡しようとする男。
男が走ってきた向こう側には、異形の影が現れだす。
?「うおおおぉぉぉー!!」異形の影は素早く男に追いつき、男の頭を強く掴みだした。
男「う、うわあああああぁぁっ・・・!!!」
13
立山博物館 館内[夜]
懐中電灯であたりを照らしてチェックしながら、進んでいく風城。
風城「ここも異常無し・・・と。後は・・・。」
風城は、不思議な道祖神の前に立ち、見つめる。
「ふう・・・・。」像が気になっていた風城は手袋をはめて、像に手を伸ばそうとする。
秀太郎「おい。何してんだ。」そこへ秀太郎の声が響く。
風城「うぇっ!?」思わず、手を止める風城。
秀太郎が姿を現す。
風城「秀太郎さん!?脅かさないでよ~。」
秀太郎「驚いたのはこっちだぜ、風城。お前、手袋までハメやがって、その像に何があるんだ?」
風城「いや、実は・・・。」風城は、昼間自分の感じた事を秀太郎に話した。
14
立山博物館 館内[夜]
懐中電灯であたりを照らしてチェックしながら、進んでいく風城。
風城「ここも異常無し・・・と。後は・・・。」
風城は、不思議な道祖神の前に立ち、見つめる。
「ふう・・・・。」像が気になっていた風城は手袋をはめて、像に手を伸ばそうとする。
秀太郎「おい。何してんだ。」そこへ秀太郎の声が響く。
風城「うぇっ!?」思わず、手を止める風城。
秀太郎が姿を現す。
風城「秀太郎さん!?脅かさないでよ~。」
秀太郎「驚いたのはこっちだぜ、風城。お前、手袋までハメやがって、その像に何があるんだ?」
風城「いや、実は・・・。」風城は、昼間自分の感じた事を秀太郎に話した。
15
秀太郎「戦いの記憶?何なんだよ、それは?」
風城「昼間、この像を見たときに、なんていうか・・・見えたんだよ。白い鳥人が・・・怪物と戦っている所が。」
秀太郎「鳥人と怪物?」
風城「・・・多分、僕…自身が・・・。」
秀太郎「仕事サボり過ぎて、いよいよ白昼夢でも見るようになったか。」話が信じられない秀太郎は、風城に皮肉を言う。
風城「それは・・・・・。」
秀太郎「この像は、見つけた登山客が、寄贈してくれた大事な像だ。」
「サボってばかりのお前に、触らせてやるわけには・・・。」
16
前羽「・・・失礼します!」
風城や秀太郎が振り向くと、そこには殺気立っていた前羽が立っていた。
風城「どちら様ですか?」
前羽「富山県警捜査一課の、前羽和実警部補です。」
「其方の像ですが、証拠品として押収させていただきます。」
風城「証拠品?」
秀太郎「そんな連絡はウチは受けていません。」
「これは今、うちの収蔵品ですので、所定の手続きを取って、出直してください。」
秀太郎と前羽は言い争い、睨み合う。
秀太郎の背後で、風城はそろーりと像に触れようとする。
涼子「どうしたの?」涼子が現れ、風城は手を止めた。
風城「・・・・っ!」
秀太郎「涼子。警察から像の押収なんて連絡、受けてたか?」
涼子は横に首を振る。
涼子「だけどどうして?」
前羽「登山客連続失踪事件の証拠品として、緊急なんです!」
「事件の被害者に、あの像が関係しているんです!」
風城「登山客の人達と、この像が・・・!」前羽の言葉を聞いて、風城は像をじっと見る。
17
その頃、博物館の自動ドアから、青白いゲル状の液体が、ものともせず流れだし、やがて実体化し異形の怪人・デーモン・バグゼルンが姿を現した。
その超視力で、壁が隔てた先の像を見据えた。
バグゼルン「ううぅぅ・・・・。」
そして同時に、激しい頭痛に見舞われた風城。
風城「うっ・・・・!あっ、ぐっ・・・!」
秀太郎・涼子「「風城(君)!?」」よろめく風城に、駆け寄る涼子と秀太郎。
前羽「これが、あの・・・。」その隙に前羽は道祖神の像の前に出て、手を伸ばした。
すると前羽の手首を、バグゼルンの触手がぐいと掴んだ。
前羽「っ!?きゃああああああぁぁ!!」触手に投げ飛ばされる前羽。
涼子「何今の!?」
風城「刑事・・・さん?」
壁に激突し、転がった前羽に熊吉が駆け寄った。
熊吉「前羽!」
前羽「熊吉・・・!どうしてここに?」
熊吉「正気じゃない顔で、車飛ばしてるのを見かけたから、着いてきたんだ。」
「お前の事だから、絶対何かがあると思ったけど・・・どうしてこんな所に?」
前羽「・・・あれがあれば、分かるかもしれないの・・・。」
「失踪した登山客の事も・・・光の事も・・・!」
「あいつがやったかもしれないから・・・!」道祖神の像やバグゼルンを指差し、前羽はそう言う。
熊吉「あいつが・・・!?よく分からないけど、本当なんだな?お前が言うなら・・・。」
前羽が強く頷いた。
熊吉「う・・・うあああああああーっ!!」熊吉は、雄たけびと共にバグゼルンへと突進する。
対するバグゼルンは熊吉を殴って払いのけ、更に触手を打ち出して、熊吉の肩を貫いた。
熊吉「ぎゃああぁぁぁぁああ!!」
熊吉の血が、地面に滴る。
前羽「・・・・っ!」前羽は目を背けて、まっすぐ像へと走り手に取った。
18
バグゼルン「・・・ふん、愚かな。それは凡百の者には扱えまイ・・・。」
風城「やぁーっ!!」風城がバグゼルンの腰へとタックルする。
バグゼルン「むぅっ?」
風城「お前は何なんだ?帰るんだ!怪物!」
バグゼルン「断る!ふんっ!」バグゼルンは、風城を殴り飛ばした。
風城「ぐっ!」
「道祖神の像を、どうする気だ?」
バグゼルン「その像は、蘇った我々を脅かす危険な物ダ。・・・・破壊スル・・・!」
風城「っ!!?」なんとバグゼルンは道祖神の破壊を企んでおり、それを知った風城は衝撃を受けた。
バグゼルン「ふんっ!」バグゼルンは一声と共に、無数の触手を前羽の持つ像に伸ばしだす。
前羽「・・・っ!!」
風城「刑事さん・・・!」
風城は前羽とバグゼルンの間に立ちはだかり、触手にからめとられ、吊り上げられた。
前羽「っ!?」
風城「うっ・・・・・ぐぁぁぁああああ――っ!!」
19
涼子や秀太郎がその場に駆け付け、吊り上げられた風城を見上げた。
涼子・秀太郎「「風城(君)!!」」
秀太郎「何なんだアイツ・・・!?おかしな面して・・・!」
すると秀太郎や涼子の首にもバグゼルンの触手が巻き付き、同じように吊り上げられる。
秀太郎「うっ!」
涼子「あ・・・・かはっ!」
前羽「貴方が、みんなを・・・?負傷者も死亡者も・・・?」前羽はバグゼルンを睨み、そう言った。
バグゼルン「私はこの像を持ち出した者を、探していた。そしてやっと見つけたのダ。」
「像のありかを知らない者は叩き、知っている者も叩いてきタ・・・。」
登山客失踪事件の犯人はバグゼルンであり、道祖神の像とそれを持ち出した者を探して、像のありかを知らない者や知っている者を立て続けに襲撃し、何人も殺害していた。
前羽(・・・やっぱり、コイツが”光”を・・・!)
前羽「うわぁぁあああ――っ!!」
ある事を思い、激昂した前羽は道祖神の像を持って、バグゼルンに殴り掛かる。
像は鈍い音を立てて後頭部に当たるが、バグゼルンはビクともしなかった。
バグゼルン「はかないものヨ・・・。フンっ!」バグゼルンは、前羽を拳で払う。
その際に像が宙を飛んだ。
前羽「うぐっ!!かはっ・・・!」悶え苦しむ前羽。
20
バグゼルン「・・・さらばダ・・・!”ハクタカ”・・・!」
風城「やめろ・・・!やめろおおぉぉぉぉ――!!」
バグゼルン「はあぁっ!!」バグゼルンが像に目掛けて、触覚から火球を放った。
すると火球が命中する寸前に、道祖神の像が眩しい光を放ち始めた。
火球が命中して爆発するが、像はそれをものともしなかった。
バグゼルン「むっ!?」
風城「っ!!像が・・・!」
そして、光になった像はなんと風城の中へ入り込んだ。
風城「っ!!?」その際にバグゼルンが怯み、風城達に巻き付いていた触手が引きちぎられた。
バグゼルン「ぐはぁっ!?」
一同、地面に落ちる。
涼子「何なの一体?像から光が出て、光が風城君の中に・・・?」
秀太郎「風城・・・!」
風城「ううっ・・・!うっ・・・!!」風城は、立ち上がろうとするも苦しみだす。
バグゼルン「おのれぇ・・・貴様・・・!ふん!ふん!」怒ったバグゼルンは風城に何度も殴りだす。
風城「う、うわああぁぁ!!」そして風城の首を掴み、投げ飛ばした。
秀太郎「風城っ!」
涼子「風城くん!嫌っ!」
バグゼルンは更に触手を鞭のように叩きつけ、追い打ちをかける。
風城「うわああぁぁぁっ!!」
熊吉「チックショウ・・・このままじゃ・・・・。」
前羽「どうして?私じゃダメだった・・・・・・?」絶望しかけた前羽は、跪いて崩れ落ちた。
21
風城「こ、このままじゃ・・・やられる・・・!」
すると、全ての時間が唐突に止まりだした。
風城「っ!?何だ・・・?」
風城の元に、ある人物の幻影が現れ、バグゼルンや秀太郎らに無視され、堂々と歩いてきた。
「君は・・・一体誰だ?」
佐伯「佐伯有頼。この辺りではそれなりに有名なつもりの者です。」その人物はなんと、立山開山伝説に大きく関わっている佐伯有頼であった。
風城「佐伯有頼・・・!君が・・・!」佐伯の事は風城も知っており、驚いた。
「どうして、ここに?」
佐伯「今、あの魔物・・・デーモン・バグゼルンの影は、現世うつしよと幽世幽世かくりよの狭間です。」
「そこを利用して出て参りました。」
風城「それでいったい何が・・・?」
佐伯「今、貴方に光の力が宿りました。私も掴み、共にあった・・・光が・・・。」
「”彼”が選んだのです。」佐伯は風城をゆっくり指差して、そう言った。
風城「力・・・僕に入っていった像が・・・・?どうすれば?」
佐伯「大丈夫。私の一族の血を引く、あなたと・・・”彼”なら、きっと・・・。」そう言い残して、佐伯は姿を消した。
22
止まっていた時間が動き出した。
バグゼルン「何だ!?いつの間に!」
風城「何が起きているのか・・・まだ分からない・・・・。」
「でも、お前がこれだけの人を傷つけた事・・・しっかり償ってもらう!僕が償わせる・・・!」困惑しながらも、そう叫ぶ風城とそれを睨むバグゼルン。
バグゼルン「まさか貴様が今代の!?潰してやる!!」そういって、バグゼルンは触手や火球による攻撃を、風城にぶつけようとする。
風城は、それを全てかわしていった。
風城「聞こえるよ・・・聞こえてくる・・・山の声が・・・!」
「そうか・・・・・分かった・・・!まずは・・・!」
風城にバグゼルンが逆上して襲い掛かる。
風城「ふっ!はっ!はっ!」
バグゼルン「うおぉっ!?」
風城は超人的な動きで、歯が立たなかったバグゼルンにパンチ攻撃をぶつけ、抑え追い詰めていく。
風城「変わる・・・!」
「はあぁっ!!」
パンチやキックが放たれる毎に肉体が変質していき、やがて自身と一つとなった光の超人――鳥神ハクタカ・アヴァンフォルムの姿に変身完了する。
その姿は、イメージに見続けた、古の英雄、白い鷹に似た鳥人そのものだった。
23
ハクタカ(風城)「白い・・・白い鷹・・・白鷹ハクタカ・・・?この姿は・・・?」変化した自分の姿を見て、少し戸惑いだすハクタカ。
バグゼルン「・・・ハクタカ・・・!?」
涼子「何・・・?何なのアレ・・・?」
秀太郎「白い鳥人・・・白鷹ハクタカ・・・?」
「・・・風城・・・?」秀太郎は、ハクタカを見つめて察し始める。
バグゼルン「ふっ・・・フハハハハハっ!!脅かすなよハクタカ!」
「所詮、現代の人間では、力を出し切れないその姿までが限界か・・・!」
ハクタカ「・・・・!」
バグゼルンは嘲笑った後、そのままハクタカに飛び掛かる。
バグゼルン「消えろぉっ!!ハクタカぁ――!!」
バグゼルン「っ!何っ!?」バグゼルンがジャンプパンチを繰り出し、それを強く受け止めるハクタカ。
ハクタカ「俺は言ったはずだ・・・。お前には、罪を償ってもらう・・・!」
「はあぁっ!!」そしてハクタカはバグゼルンを力いっぱい投げ飛ばした。
バグゼルン「ぐぁぁっ!?ぐうぅぅ!」投げ飛ばされ怯んだバグゼルン。
ハクタカ「さあ、行くぞっ!」
現代にて対峙する英雄・ハクタカとバグゼルン。
続く